空手道拳道会創立20周年記念 第17回全国選手権大会 特別企画
≪拳道と私≫特別版 黒崎汐指導員(本部 三段)
拳道会創立20周年を記念した今年の全国選手権大会。組手の部で今年も優勝を飾ったのはまたしても黒崎汐指導員でした。1999年の第13回大会から5年連続決勝戦に進出し、今年で4連覇を達成した黒崎指導員。拳道会全国大会史上、前人未到の4連覇を達成しながらもあくなき拳道鍛錬に励む黒崎指導員であります。今回は、全国選手権大会特別企画として、黒崎汐指導員にこれまでの全国大会を振り返っていただきながら、拳道についての思いを語っていただきました。
■ プロフィール
黒崎 汐
1973年12月25日生まれ、福岡県北九州市出身
全国選手権大会 組手の部 14回〜17回大会優勝、13回大会準優勝、
(10回〜17回大会に出場) 12回大会6位、11回大会優秀賞
型の部 14回、15回大会優勝、16回大会準優勝、
13回、17回大会3位
第10回関東選手権大会 組手の部優勝、型の部準優勝
(8,9,10回関東選手権大会出場)
■ スペシャルインタビュー
| 司会: | まずは、全国大会組手の部4連覇おめでとうございます。今大会を振り返っての感想からお聞かせください。 |
| 黒崎: |
今大会もそうですが、過去出場したすべての大会を振り返って見ると、何よりも良き師に巡り会えた事がすべてだと感じます。今年の試合は自分の中で、半分くらいは後輩達に道を譲ってあげる最後の勤めと思いながら試合に出ようと思っていました。もちろんこんな事は誰にも言えなかたんですよ。試合を目指した稽古も、いつも通りしていました。すると石山師範が稽古後に静かにこうおっしゃったのです。 「汐、どんな状況になっても試合はすてるな。」 そのような中で自分が師と仰ぐ方から言われたので、心に響きました。 今大会を振り返ってみると、どの試合も紙一重でした。 紙一重になればなるほど師の言葉が重みをましていきました。 |
![]() 石山圭首席師範からの直接指導 |
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| 司会: | 今年も緊迫した好勝負が多く繰り広げたと思いますが、試合ではどんなことを考えながら望んでいたのでしょうか。 |
| 黒崎: | 今大会では、「ポイントに走らず、じっくり試合を作り勝負をしよう」と思い下段蹴りを中心に試合を組み立てていきました。有効を積み重ねて、逃げきるような組手では後輩たちに見せられるものが少ないと判断したからです。試合を終えて肉体的なダメージが無くてはなかなか相手も納得しないだろうと、また崩しや作りも加えた戦略で試合をしました。その戦略が的を射たのか射なかったのかは、判断に苦しみます。全試合が苦戦の連続でしたからね(笑) |
![]() 組手の部4連覇を達成し、中村日出夫総師から祝福を受ける。 |
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| 司会: | 試合がもつれても必ず自身のペースに引き込み、最後には勝利をもぎ取る。今年も新世代の選手達の台頭が目立ったのですが、それでも、黒崎選手の壁は破れませんでしたね。4年間も最強であり続けた連覇の過程で、印象に残った試合、エピソードなどあればお願いします。 |
| 黒崎: |
4連覇の過程を振り返ると、「どの大会も簡単には勝ち残れなかった」ということになりますかね。4回連続優勝をする過程で、精神的な面で得るものが多かったです。 |
| 一番嬉しかったのは14回大会の初優勝だったし、一番悔しかったのも14回大会でした。 決勝で敗れた13回大会が終了した4ヶ月後に闘病生活を送っていた父が亡くなり、自分は拳道会に入門し今のいままで何をしていたのかと自問する日々が続きました。その日々に必ずや父の墓前で優勝したと報告をしようと決意をしたのです。いざ優勝してみると、一番嬉しく、一番悔しく思いました。 二度目(15回大会)もまた、「連覇をしてこそ本当の王者だ」と沢山の方面から叱咤され、無我夢中のうちに優勝をしました。 三度目(16回大会)の優勝も感じることが多かったです。 |
![]() 第14回、第15回 型の部でも連覇を達成。 |
| 精神的には追い詰められて余裕が無く、体は思うように動かない状態でした。 下手な試合はできない、連覇達成者らしく振舞わなくてはと余計なことに心を捉われ、試合場に上がる前から今まで感じたことの無いプレッシャーに悩まされました。 今でも忘れられないのが、16回大会の組手緒戦です。 試合が開始し、相手(京都支部の青山成文選手)にいいように攻められても、手も足も出ない状態でした。試合開始から1分過ぎに、赤サイド(私の後ろ側)いた京都支部の安泰範師範から声をかけられました。「汐、いつも通りにしろ!」とです。 相手サイドにいるとばかり思っていた安師範からのアドバイスに、試合中ながら自分はなんて周りが見えていないのか、私の兄弟子にあたる安師範が自分の教えている青山選手のサイドではなく、私のサイドで声をかけてくれている事に驚きと感動を覚えました。 そのアドバイスでプレッシャーが不思議と解け、体が自由に動くようになりました。 安師範の声援のおかげでその試合が勝てたと感謝をしていますし、組手とはまさに、心と心の戦いであると実感したのがそのときでした。 |
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![]() 第17回大会での黒崎の戦いぶり |
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| 司会: | 話は遡りますが、黒崎指導員と拳道との出会い、また拳道に対する思いについてお願いします。 |
| 黒崎: |
私が拳道と拳道会を知る大きなきっかけとなったのは知り合いに見せてもらってビデオでした。 「拳の道」、「拳道会大演武会」を見た時の衝撃は今でも忘れられません。 そのビデオですっかり拳道会に魅了されて、石山師範の指導を受けた事のある指導員の下に入門しました。その先生達の下で、週2回の稽古を7年間続けたのですが、組手は一切させて貰えなく、ひたすら基本と移動の稽古だったと思います。それでもこれが強くなる本道だと信じ、稽古に打ち込みました。 その過程で石山師範に見出され、拳道会の内弟子として修行をするようになりました。(余談ではありますが、当時私よりも強く、上手い練習生は沢山いたのですが、そのときは「何故俺が?」という気持ちでいっぱいでした。) 内弟子生活の過程で私は石山師範に、稽古でも日常生活でも目の敵にされるほど怒られました。西敏秀先輩(現 千葉支部指導員)には「お前は歴代1位か2位になるくらいのタイミングの悪いやつだ」と良く言われたくらいです(苦笑)。当然今でも良く怒られます。不肖の弟子ですから(笑)。 しかしその分、多くの事を学べたと信じております。 現在、石山師範からは多くを学び取っている最中ですが、一貫して言われていることが「汐、大きくなれ。」、「しっかり見ろ。」ということです。 師事して結構な月日が経ちますが、一度も「強くなれ」とは言われたことがありません。この辺に人格育成を第一と見る基本方針が貫かれているのではないかと思います。 |
![]() 第17回大会優勝決定戦を終えて |
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| 司会: | 普段では聞けない貴重なお話を有難うございました。最後に、4連覇達成後のこれからの決意についてお聞かせください。 |
| 黒崎: | 私は不肖ではありますが、石山師範の直弟子の一員であると自負しています。 中村総師の一番弟子であり、総師より教士号を授与された石山主席師範の直弟子であると自負しています。これからも私は中村総師の孫弟子として、石山師範の直弟子として拳道会の発展の為に寄与していきます。 今回の大会で競技生活に一応の終止符をうち、師の示されるより厳しい武道の道を歩んで行く決意であります。これからもご声援よろしくお願いします。 |
| 司会: | 有難うございました。これからも黒崎指導員の活躍を期待しています。(終) |